コロナ禍の雑記

 昨年突然全世界へ広まったCOVID-19の影響で、私も活動を大きく変更しなくてはいけなくなりました。出演予定だった演奏会は次々とキャンセルや延期が決まり、演奏活動がストップしてしまいました。自粛も始まり、家に籠る日々。対面レッスンに代わってSkypeオンラインレッスンを始めるも、しばらくは何も無い日々が続きました。

 自粛開始当初は、ある意味これはチャンスで、時間をかけてじっくりと勉強できると喜んだものの、流石に何ヶ月もすると疲れが出てきます。マリオ・ブルネロ氏によるチェロテクニックエクササイズ本に取り組んだり、ペルトの曲を写譜してみたり、写経してみたり、常用漢字全部書いてみたり…。色々と取り組めましたが、精神はかなり参っていきました。家で静かにしていると耳の雑音が気になったり運動不足になったり、やる気と無気力の浮き沈みでメンタルの変化が辛い日々でした。

 そんな状態の中で久しぶりに演奏のお話をいただきました。同じ製作者の楽器4本で弦楽四重奏を弾くというとても魅力的なお仕事で、しかもクラウドファンディングで資金集めをするという初めてのスタイルです。久しぶりの外出は心も身体も解放され、空の広さに嬉しくなり、あぁ天井がめちゃくちゃ高くなった!そんな感覚を覚えました。電車の駅ホームの騒々しさが気になったりもしましたが、音や匂い、空間の広さ等とにかく五感が喜んでおりました。

 久しぶりのアンサンブルでは、バランスを聴き分ける力の衰えを感じつつも、大変幸せな時間を過ごしました。仲間で集まりアンサンブルする事がこれほど貴重で奇跡の時間だったとは…!シューベルトという人も、きっとこのアンサンブルの貴重さを大切にしてたんだろうな…などと考えながら、弦楽四重奏のリハーサルを進めていきました。

 数ヶ月ぶりのホールでの本番の緊張感やワクワク感を噛み締めながら、無事に演奏会が終わりました。クラウドファンディングは目標金額の倍以上ご支援をいただき、この先コロナがまだまだ続こうが、負けずに活動していくべし!と元気が湧いてきたのでした。

   仲間とのアンサンブルの時間は奇跡の時間。

2月11日